プレゼンテーションの話し方!言葉遣いで気を付けたい4つのこと

「目上の人が多いプレゼンでは、敬語を使うべきなの?」
「どうしても方言が出ちゃいます。どうすればいいですか?」

このように、プレゼンテーションでの言葉遣いに悩まれている方は多くいます。

言葉遣いに悩むことは、聴き手への配慮につながるのでとても大切ではあります。しかし、言葉遣いを気にしすぎるあまり余計に緊張してしまったり、言葉が出てこなくなったりしては本末転倒です。

今回は、プレゼンテーションにおける“言葉遣い”のコツをご紹介します。プレゼンテーションの言葉遣いで気をつけるべきことをしっかり押さえて、より伝わるプレゼンテーションにしていきましょう。

言葉遣いで気を付けたい4つのこと

図の出典:戦略的プレゼンテーションの技術

不慣れな敬語は避けよう

みなさんは敬語を正しく使い分けられていますか?

尊敬語、丁寧語、謙譲語。どう表現が違うのか悩んだあげくに間違って使ってしまい、せっかくの配慮が逆効果になってしまっている場合もあるかもしれません。

敬語を正しく使い分けるのは難しいですよね。

実はプレゼンテーションでは、尊敬語、丁寧語、謙譲語は多用しなくてもいいのです。

プレゼンテーションの場は「話し手」と「聴き手」の関係であって上下関係ではありません。プレゼンテーションでは伝えたいことが伝わって意思決定してもらうことが重要なのです。また、無理に使おうとすると間違った敬語で不快な思いをさせてしまうことがあります。

確実に伝わることが重要なプレゼンテーションで不確実な使い方の敬語は足かせになります。プレゼンテーションにおける言葉遣いは“標準的な普通の表現”でよいのです。聴き手への配慮は言葉遣いよりも態度と姿勢で表現しましょう。言葉遣いよりも聴き手の聞きたいことを伝えましょう。心を込めて自分の言葉で誠心誠意“標準的な普通の表現“で伝えることがプレゼンデーションで伝わるコツです。

もちろんぞんざいな表現や上から目線の表現は聴き手に不快感をもたせることになりますので御法度です。また、お友達との日常会話ではないのでため口も控えましょう。

言葉のノイズを除去する

「えっと、・・・」「えー、・・・」「まぁ・・・」「あのう、・・・」

プレゼンテーションをしている中でこのような「ノイズ」を出していませんか?
ノイズ、つまりプレゼンテーションにおける聴き手にとっての雑音です。
言葉遣いの悩みの多くは、話し方からこのノイズを除去するだけで解決します。

これらは一度口にしただけなら気になりません。しかし、連続して口にすると非常に聞き苦しく、聴き手の理解を阻害する要因になります。また、焦っている、自信がない、落ち着きがない、隠しごとをしているなどの印象を聴き手に与えてしまうこともあるので、早めに治してしまいましょう。

ノイズを除去するには、なぜノイズが出るのかの要因をみつけましょう。

・頭の中が整理されていないとき
・見切り発車して話しているとき
・思いつきで話しているとき
・考えながら話しているとき

このようなときにノイズが発生する人が多く見られます。要因がわかれば、その要因を解決することでノイズは除去されます。

要因解決には、3部構成で準備して、伝える文章を組み立てておきましょう。このとき、文章は短く、接続詞を活用することを忘れないようにしてください。そして、文章の締めくくり、つなぎも平易な表現にすることが大切です。

たとえば、
「1つ目といたしましては、評価方法についてご説明させていただきたいというふうに思います」

こういった文章は、
「1つ目に評価方法を説明いたします」
のような簡潔な表現にしてしまうのです。

これでもまだノイズが除去できない場合のとっておきの方法をお教えします。ノイズ部分を沈黙することです。

ノイズとなる「えっと、・・・」「えー、・・・」「まぁ・・・」「あのう、・・・」を口にしたくなったらその言葉を飲み込んでしまいましょう。

プレゼンテーションでスラスラと話せる必要はありません。つっかえても、言い直しても全く問題はないのです。プレゼンテーションでは伝わることが重要なのですから。

方言やアクセントは魅力的

“標準的な普通の表現”で話すのがコツとお伝えしましたが、それは“標準語”で話すということではありません。

もし、あなたが方言を話すなら無理に標準語に直して話そうとする必要はありません。方言はあなたの人柄が出て聴き手にとって印象に残ります。堂々と方言を使いましょう。でも、聴き手が理解できない表現はその意味を補足説明もしくは言い換えて、誤解される言い回しは使わないほうが無難です。

また、方言によっては表現が異なるだけではなくアクセントの違いもあります。言葉のどの部分にアクセントを置くかによって意味が違ってくることがあります。これは自分では気づきにくいです。心配な用語、重要なフレーズやキーワードなどの単語や言い回しは、事前に標準語のアクセントを調べておくと安全です。母国語ではない言語でプレゼンテーションするときは、第三者にフィードバックをもらうことをお勧めします。

プレゼンテーションではあなたのメッセージが正確に聴き手に伝達されることを優先し、方言で自分の魅力を付け足していきましょう。

専門用語、カタカナ語、略号にはご用心を

専門家であればあるほど専門用語、カタカナ語、略号を多用してしまいがちです。

あなたにとっては当たり前の言葉であっても、聴き手がわからなければ伝わりません。

聴き手の分析結果を踏まえて、あなたが使う言葉を理解できるかどうかを考慮してください。難しそうな言葉があったら、多用しない、かみ砕いて用語の意味を補足する、平易な表現に変える、言い換えるのが伝わるコツです。

難しい専門用語を使うと権威があるとか、流行のカタカナ語や略号を使うことがカッコいいとかのイメージを持ちがちですが、これは大きな間違いです。専門用語、カタカナ語、略号を多用して聴き手を煙に巻くような話し方は止めましょう。真の専門家は、聴き手が理解できる聞きやすい言葉で伝えることができるものです。なぜなら、その言葉の意味を十分に理解し説明できる知識を有しているからです。

プレゼンテーションの話し方でよくある悩み

滑舌は気にするな

プロのアナウンサーでなければ「滑舌」はたいした問題ではありません。言語を明瞭にして話すよりも、語尾を明瞭にして話すことが大切です。

言葉の最後が小さくなってしまい聞き取りずらいと、自信がないように見えてしまいます。

棒読みに気を付けて

棒読みにならないために、ビジュアル資料をスピーキングガイドにしないように注意しましょう。原稿を読み上げるのも、棒読みになってしまう原因になります。

資料や原稿を読み上げるならばわざわざ同じ時間と環境を共有してプレゼンテーションを聴く必然性はありません。話し手が意図した行動に聴き手を導くには、あなたの目線は聴き手に配りましょう。両手を使ってボディランゲージを活用しましょう。顔の表情も豊かに伝えましょう。

せっかくのライブです。感情をのせて伝えると、聴き手は確実にあなたに釘付け間違いなしです。

主語

プレゼンテーションでは、話す文章の主語を聴き手にしましょう。

「私は」と連呼されるプレゼンテーションは自己主張の域ですが、「みなさんは」と投げかけられると自然に当事者意識をもって聴くことができます。自分事として聴くので理解が促進され、自分で行動を判断できます。聴き手を主語に話すことで、聴き手の聞きたいことを伝えることができるのです。

マイク

「プレゼンテーションではマイクを使う」という考えは捨てましょう。マイクが必要かどうかは“拡声”が必要な会場あるいは人数かで決めます。

マイクは声を隅々まで届けてくれます。しかし、マイクを通した声は単なる“音”に変化します。よほど上手にマイクを使いこなすテクニックがない限り、マイクを使うことはたくさんのリスクを抱えることになります。

大音量にしてはいけないと話し手は小声で話してしまいがちです。小声は感情をのせにくくぼそぼそと平坦な一本調子になり、その音を聴いていると眠りを誘われてしまいます。感情がこもってくると突然大きな声になり、聴き手は耳をふさいでしまいかねません。ピンマイクを使うと顔の向きによっては声を拾ってくれません。小さな会議室であってもマイクを使うことがあるようですが、自分の声で伝えることが聴き手を惹き付ける魅力あるプレゼンテーションになります。

まとめ

いかがでしょうか。

言葉遣いを気にしすぎるあまり、相手に伝わらないプレゼンテーションになってしまっては本末転倒です。今回お伝えした言葉遣いで気を付けるべきところを押さえたら、上手な話し方を覚えて、プレゼンテーションでの話し方に磨きをかけていきましょう。

プレゼンテーションでの上手な話し方のコツについて詳しく知りたい方はこちらをお読みください。
プレゼンテーションでの悩みを解決!話し方のコツ

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監修

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
特定非営利活動法人国際プレゼンテーション協会 理事長
一般社団法人プレゼンテーション検定協会 代表理事
アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表

日本におけるプレゼンテーション分野では、先駆者として、その能力向上や啓蒙活動に寄与。これまでに、企業や団体におけるプレゼンテーションの教育や支援、大学におけるプレゼンテーション技術の指導などを手がける。関連書籍や雑誌の執筆も多数、講演活動もおこなう など、プレゼンテーション分野の第一人者。
また、コミュニケーションに関して造詣が深く、一方で、経営コンサルタントとして、様々な企業や団体でビジネス・プロフェッショナルとしての必要なリテラシーを支援、開発、養成、指導の助言、指導、支援もおこなっている。
主な専門分野は、ビジネスに不可欠な戦略的思考と行動、およびコミュニケーション能力。例えばビジネス戦略、営業戦略、戦略的目標管理、商品開発、論理的思考技術、プレゼンテーション技術、ミーティング・マネジメント、チーム・ファシリテイション、多様性のマネジメント、変革のリーダーシップ、グローバル・ビジネス・マネジメントなど。

戦略的プレゼンテーションの技術」

第1章:プレゼンテーションの戦略
第2章:プレゼンテーションのシナリオ
第3章:インタラクティブ・プレゼンテーション
第4章:プレゼンテーションのデリバリー技術
第5章:ビジュアル化技術
ワークシート集、参考資料

八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版 232頁 定価2,530円(本体2,300円+税10%)

プレ検公式テキスト
パーフェクト・プレゼンテーション」

第1章:プレゼンテーションを始めよう
第2章:聴き手分析
第3章:目的と目標分析
第4章:場所と環境分析
第5章:シナリオの構築
第6章:3部構成のシナリオ・ツリー
第7章:デリバリー技術
第8章:ビジュアル・プレゼンテーション
第9章:双方向のプレゼンテーション

八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版並製 431頁  定価3,300円(本体3,000円+税10%)