プレゼンテーションでは聞き手に質問をしてみよう!成功の秘訣はインタラクティブ

プレゼンテーションで一通り話し終えて、最後の質疑応答。聴き手からどんな質問が飛んでくるのか、想定外の質問が来たらどうしようと、ドキドキしながら質疑応答の時間を迎える人もいるのではないでしょうか。

そんなときは、プレゼンテーションは聴き手が質問をするものという考えを変えてみましょう。

プレゼンテーションは話し手と聴き手の双方向コミュニケーションです。話し手が聴き手へ質問をして、聴き手を巻き込むのです。

今回は、話し手が聴き手へ質問するコツを紹介します。話し手の質問効果を活用することは、プレゼンテーションの成功の確率を高められます。

プレゼンで質問のパワーを活用しよう

話し手は一方的に話す人、聴き手は一方的に黙って話を聞く人、質疑応答はプレゼンテーションの最後にまとめておこなうこと、が日本の慣習的なプレゼンテーションでした。

しかし、プレゼンテーションは双方向のコミュニケーションの場です。意志決定を促したいならば、話し手が聴き手に質問を投げかけてインタラクティブなプレゼンテーションをしましょう。

話し手が聴き手に質問を投げかけるとさまざまな効果が得られます。

・聴き手が積極的に関与できる
・臨機応変に対応できる
・リラックスできる

質問という行為には、プレゼンテーションの流れを左右するパワーがあります。

一方通行のプレゼンテーションは、最後の質疑応答で聴き手からの鋭い突っ込みによってズドンと突き落とされることも覚悟しなければなりません。

話し手が質問をする双方向のプレゼンテーションならば、進行や内容を微調整しながら、確実に意図する行動へ聴き手を導くことができるのです。

質問のパワーを聴き手に渡してしまうのは丸腰で戦うようなものです。話し手が質問のパワーを活用して、聴き手に寄り添い円滑なコミュニケーションを図りましょう。

プレゼンテーションの質問によって得られる6つの効果

注意を喚起できる

司会者へ礼、挨拶、自己紹介、ウエルカムと述べてきたけれど聴き手は無表情で重苦しい雰囲気。こんなプレゼンテーション想像したくもないですよね。

少しでも笑ってもらおうと世間話や身の上話を長々とする人がいます。話し手はリラックスするかもしれませんが、聴き手は面白かったら聞くという受け身のままです。

こんなときは、「みなさん」と聴き手に質問を投げかけてみてください。聴き手は自分の答えを考えはじめます。そして、話し手に注目し、耳を傾けはじめます。

注意!
プレゼンテーションのテーマと関連ある質問を投げかけましょう。突拍子もない、関係のない質問はスベって転んでしまいます。

メッセージを強調できる

聴き手に「協力」という行動を意図するプレゼンテーションの場合、話し手のメッセージを明確に聴き手へ伝える必要があります。

こんなときは、話し手のメッセージを聴き手に直接投げかけてみてください。聴き手がそのメッセージに共感や賛同をするならば、「うんうん」と頷いてくれます。

注意!
メッセージですから感情を込めて伝えるようにしましょう。淡々と無表情で話してしまうと「それを聞きに来ている!」とツッコまれてしまいます。

問題意識を強化できる

「先行研究をしてきた我が社は産学協同研究に踏み出す段階にあるのではないでしょうか?」

予算獲得に自社のベネフィットを語るプレゼンテーションで成功するかどうかは聴き手の問題意識の有無にかかっています。決裁者に問題意識がなければ、いくら熱弁を振るったとしても予算を獲得することは難しくなります。

こんなときは、話し手から聴き手へ質問を投げかけて問題を提起しましょう。目の色が変わり身を乗り出してくれたら問題意識がある証拠です。

注意!
質問を投げかけるときは、キーパーソンにアイコンタクトをしてくださいね。スライドを読み上げながらでは聴き手の反応を見逃してしまいます。

知識を評価できる

「新入社員のみなさん、我が社のスローガンを全文で言えるようになりましたか?」

プレゼンテーションを成功に導くためには、伝えたい内容に対する聴き手の認知度や理解度は重要な情報です。しかし、準備段階での聴き手分析では掴めない場合があります。

こんなときは、話し手が聴き手へ直接質問を投げかけて情報を収集しましょう。強いアイコンタクトを送ってくれる聴き手は理解や認知があり、目線をそらす聴き手は理解や認知が怪しいことが掴めます。

注意!
「言える人は手を挙げて」など挙手を求めるのはやめましょう。言えない人は恥を掻かされたと思い、プレゼンテーションでマイナスのイメージがついてしまいます。

意見を吸い上げる

「我が社のSDGsの取り組みにはどのような課題があるでしょうか?」

プレゼンテーションで聴き手が黙っていると伝わっているのか不安になりますよね。非言語や周辺言語で反応を示してくれる聴き手はまだまだ少数派です。

こんなときは、話し手が聴き手に直接意見を求める投げかけをしてみましょう。黙っていても意見を持っている聴き手が多いので、“言いたい”思いを汲み取って聴き手にストレスを解消してもらいましょう。ただし、意見には疑問・異論・反論があることも忘れないでください。

注意!
聴き手の発言に反論や批判、拒絶反応は厳禁です。意見に正しい・間違いはありません。

情報を引き出せる

「テレワークでの集中力維持にどのような工夫をしていますか?」

プレゼンテーションの成功にさまざまな情報をもっておくことは重要です。しかし、現場の情報、当事者の情報、など収集しきれない情報もあります。

こんなときは、聴き手に質問を投げかけてみてください。自分では持っていなかった情報が得られるかも知れません。聴き手の答えをもらいながら臨機応変にプレゼンテーション内容と繋げましょう。

注意!
全く持っていない情報を聴き手から引き出そうとしてはいけません。聴き手は敏感です。あなたの懐を見透かし「別に」と素っ気ない対応をされてしまいます。

プレゼンテーションでの質問の仕方

話し手が聴き手に投げかける質問には絶大なるパワーと効果があるだけに、間違った使い方をするとプレゼンテーション全体に影響を与えてしまいます。

プレゼンテーションで効果的に話し手が聴き手に質問を投げかける正しい方法を踏まえて適切に活用しましょう。

コツ1:効果を予測する

6つの効果のどれを狙うのかを明確に計画をしましょう。思いつきの質問は失敗してしまいます。聴き手の多くは質問されると思っていないので、すぐに回答ができないかもしれません。計画をしていれば、表現を変えるとか、じっと待つとか、臨機応変な対応ができます。

コツ2:形式を設定する

聴き手に考えてもらえるように「オープンな質問(どのように・なぜ)」や「回答に複数選択肢のある質問(3択)」を活用しましょう。

「クローズな質問(イエス・ノー)」はおすすめしません。答え次第では先に繋がらない場合があり、正解を求めて質問をしていないからです。

コツ3:対象を選定する

誰に質問をするのか、選ぶ基準を決めておきましょう。当てずっぽうで指名したり、挙手を求めたりするのはおすすめしません。双方向のコミュニケーションなので発言できそうな聴き手を見つけることも話し手の力量です。

まとめ

事前の聴き手分析で、聴き手のすべてを見通すことはできません。現場で臨機応変に対応してこそ、そのテーマの話し手の必然性があるのです。聴き手が黙って聞き、最後に質疑応答という一方通行のプレゼンテーションは卒業です。

プレゼンテーションは双方向のコミュニケーションの場です。聴き手自らの意志決定を促したいならば、話し手が聴き手に質問を投げかけて双方向(インタラクティブ)のプレゼンテーションをしましょう。

だれに、どこで、なにを、どのように質問をするのか、事前の緻密な計算が必要です。

監修

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
特定非営利活動法人国際プレゼンテーション協会 理事長
一般社団法人プレゼンテーション検定協会 代表理事
アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社 代表

日本におけるプレゼンテーション分野では、先駆者として、その能力向上や啓蒙活動に寄与。これまでに、企業や団体におけるプレゼンテーションの教育や支援、大学におけるプレゼンテーション技術の指導などを手がける。関連書籍や雑誌の執筆も多数、講演活動もおこなう など、プレゼンテーション分野の第一人者。
また、コミュニケーションに関して造詣が深く、一方で、経営コンサルタントとして、様々な企業や団体でビジネス・プロフェッショナルとしての必要なリテラシーを支援、開発、養成、指導の助言、指導、支援もおこなっている。
主な専門分野は、ビジネスに不可欠な戦略的思考と行動、およびコミュニケーション能力。例えばビジネス戦略、営業戦略、戦略的目標管理、商品開発、論理的思考技術、プレゼンテーション技術、ミーティング・マネジメント、チーム・ファシリテイション、多様性のマネジメント、変革のリーダーシップ、グローバル・ビジネス・マネジメントなど。

戦略的プレゼンテーションの技術」

第1章:プレゼンテーションの戦略
第2章:プレゼンテーションのシナリオ
第3章:インタラクティブ・プレゼンテーション
第4章:プレゼンテーションのデリバリー技術
第5章:ビジュアル化技術
ワークシート集、参考資料

八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版 232頁 定価2,530円(本体2,300円+税10%)

プレ検公式テキスト
パーフェクト・プレゼンテーション」

第1章:プレゼンテーションを始めよう
第2章:聴き手分析
第3章:目的と目標分析
第4章:場所と環境分析
第5章:シナリオの構築
第6章:3部構成のシナリオ・ツリー
第7章:デリバリー技術
第8章:ビジュアル・プレゼンテーション
第9章:双方向のプレゼンテーション

八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版並製 431頁  定価3,300円(本体3,000円+税10%)