話す順番を意識すると聴き手の理解はグッと深まる

あなたの周りに何も考えずに思いついた順に話を始める人はいませんか?

例えば、上司が部下を集め、「ええっと、先日より…」と、問題の背景を話し始めます。
部下は真剣な眼差しで聴いているのですが、

「そこで、この問題は…、従来…、ところが…、これは、そもそも…」

長い話にあくびをこらえる人も。

一方、上司は、気持ち良く話し続けています。
ところが途中で、ふと我に返り、

「ええっと…、何を言いたかったんだっけ…?」

思いついた順に話を始めると、相手も自分も混乱してしまいます。

では、どんな順番で話すと相手も自分も心地よいのでしょうか。
今回は、聴き手の理解をグッと深める話し方について紹介します。

背景説明やそもそも論から話し始めていないか?

プレゼンテーションで「背景説明」と「そもそも論」に終始する人は、頭の中が混乱状態に陥っています。話しながら、どう組み立てようか考えているのです。

そうなると、あれも言いたい、これも言いたいと話題はあっちこっちへ飛んでしまいます。
そのうちに、話の構成どころか自分の言いたかったことも忘れ、自ら墓穴を掘ってしまいます。

あなたがこのような話し方をすると、聴き手は、「またか…」、「長くなるぞ…」と、聞く覚悟を決めてかかります。あるいは“聞く”ことを諦めてスマホをいじり始めます。

聴き手がこのような心理状態になると、あなたがいくら大切で重要な話しを述べたとしても聴き手は、右の耳から左の耳へと聞き流します。

聞き流されたら、いくら熱弁を振るってもあなたの努力は水の泡です。

まずは結論から話す

いつも話を聴いてもらえない、理解されないという自覚症状があるなら、まずは話す順番を決めましょう。
最初に何を話して、次に何を説明し、そして最後に何で締めくくるか。

話のアウトラインを決めてから、積み木をひとつずつ聴き手に渡していくのです。

頭の中の整理の仕方はこちらの記事をお読みください。
「伝え方が上手い人はやっている!3つの箱で整理しよう」

プレゼンテーションの長さに関わらず、話のアウトラインの大きな構成は
「結論」→「理由」→「結論」
です。

まずは結論から述べます。

結論とは、積み木にたとえると、家、舟、と積み木で作りたい最終的な完成形を示すことです。
聴き手は完成形がわからないと、渡されてくる積み木をとにかく受け取ることで精一杯になり、もらった積み木を目の前に途方に暮れてしまいます。
聞いた内容で頭の中がいっぱいになり思考停止になるでしょう。

「これからは、社員一人ひとりの自覚が必要です」と、伝えたいこと、つまり、結論から話しましょう。そうすれば、聴き手はあなたが何を伝えたいのかを把握することができます。そして、ゴールが見えているから安心して聴いていられるのです。

結論を話したら次に理由を伝える

たとえば、顧客にダイエット商品を紹介することになったとします。
「この商品を使用することによって1週間で3キロの減量に成功できます」と。
ぐだぐだと「そもそも論」を話してはいけません。ずばり言い切るのです。

ずばり言えば、それだけで、「そうか、それはいい」と、その気になる顧客もいます。
あるいは、「それは本当か?」とか、「いや、嘘だろう?」などと、猜疑心の芽を膨らませる顧客もいます。

そこで、あなたは結論の理由を述べます。
理由を述べて、あなたの結論が正しいことを証明しなければいけません。
「何故、1週間で3キロ減量できるか、その理由を申し上げます。それは…」と。

この「何故」に、顧客は身を乗り出してあなたの理由の話を心待ちにします。
顧客の期待が十分に高まったところで、「この商品の特徴である…」と話し続けます。ここでは、3つの箱に整理・分類した積み木を取り出し、順次、聴き手に渡していくことが大切です。

結論の理由として聴き手に渡す積み木は、「事実」、「意見」、「感情」の箱から取り出します。

たとえば、「実験データでは、脂肪分の吸収率を50パーセント以下に抑えることができます」と、事実を説明します。
また、「手軽に使用できるため、使用者からは、無理なく減量できた、と成功の声が寄せられています」と、あなたの意見を述べます。
あるいは、「あなたのような方に、是非とも、お勧めしたい商品です」と、あなたの気持ちをあらわし感情の積み木を渡します。

これで、顧客は大いに納得するはずです。

3つの箱で話を整理する方法は下記の記事を確認してください。
※参考記事「伝え方が上手い人はやっている!3つの箱で整理しよう」

最後は結論で締めくくる

相手が納得したところで、再度、結論を示します。
「だから、この商品を使用すれば、1週間で3キロ減量できることがおわかりいただけたと思います」と。

これで、顧客は「使ってみたい」とあなたの商品を買い求めるはずです。
この最後の結論は、もちろん、最初の結論と同じでなければなりません。話している途中で気が変わったということがないように。

あなたが、相手に何か伝えたいときは、「…です」と結論から言い、「というのは…」と理由を述べ、そして、「だから…です」と結論で締めくくる。

この3つの言い回しを口癖にしましょう。

言いたいことを、結論→理由→結論のアウトラインで話すと、聴き手は快適にあなたの話を聴くことができるのです。そして、聴き手の理解は飛躍的に向上します。

アウトライン、つまり話す順番を意識したプレゼンテーションをすると、あなたは聴き手から“ロジカルな人”と評価を受けるようになります。
今日からぜひ実行してみてください。

【参考書籍】
アタマで話す技術」

著者:八幡紕芦史(一般社団法人プレゼンテーション検定協会会長)
発刊日:2003年10月22日
出版社:PHP研究所