伝え方が上手い人はやっている!3つの箱で考えを整理しよう
よくある上司への報告の場面。
「ところで、今期の目標は達成できなかったようだが、どうしてかね?」
「はあ、あのう…、今期は職場活性化プロジェクトがあって…、そのう…、主力商品の不具合が…、しかも、プロジェクトが兼務で…、欠員が発生してもその補充がなく…、社内講師の仕事も…、はい、それは期初からわかっていたことですが…」
「何を言いたいのかね、キミは」
「つまりですね…、そのう…」
このようにうまく伝えられず、上司をイライラさせてしまうなんてこと、みなさんもあるのではないでしょうか?
今回は、伝えたい事を上手く整理する3つの箱の使い方をご紹介いたします。
最後まで読んで、わかりやすく伝える力、考え方を身につけましょう。
なぜ相手にうまく伝わらないのか
なぜ、うまく伝えられず、泥沼に入り込んでいったのか考えてみましょう。
それはあなたの頭の中に、言いたいことが断片的に散らばっていたことが原因です。
思いつくままに、その断片を取り出し、口から言葉として出してしまうと、聴き手は何とか推測を働かせながら、あなたの言いたいことを理解しようと努力します。
最初のうちはいいとしても、その努力は長くは続きません。途中で聴くことをギブアップして、思考を停止してしまうのです。
そして、あなたの話は、よくわからない支離滅裂だと思われてしまいます。
聴き手に誤解されるとさらに絶望的です。聴き手は、あなたの断片を取り出し、勝手に解釈して、勝手に結論を出してしまいます。
その結果、「わかっていない」だとか、「考えが間違っている」だとか、「仕事ができない」など、マイナス評価をつけられてしまいかねません。
相手を混乱させる伝え方をしていないか
言いたいことが山のようにあるのに、肝心なことは何も言えていなかった。というのもよくあることです。
なぜそのようなことがおこってしまうのでしょう? 理由はあなたの頭の中が、おもちゃ箱をひっくり返したようになっているからです。あちこちに積み木が散乱し、どうしようもない状態になっているのです。
たとえ、どうしようもない状態になっていても、おかまいなしに話しはじめ、思いつくままに積み木のひとつを取り上げて、聴き手に放り投げてしまう。
放り投げられた方は、受け取ってみるものの、その積み木が、どういう意味があるのかわからない。
そうこうしているうちに、2つ目の積み木が投げられる。ところが、1つ目の積み木と2つ目の積み木の関係がよくわからない。
そして、その後も、どんどん積み木が投げられてくる。当然、聴き手にとってみれば、ランダムに投げられた積み木を、どう組み立てていいかわからず混乱してしまいます。混乱の末、受け取った積み木さえも放りだしてしまいます。
これがよくある“伝わらないパターン”です。
上手く伝えるためには頭の中に3つの箱を用意する
話したいことをうまく伝えるには何をすればいいのでしょうか。
まず、頭の中にある積み木を整理してみましょう。整理分類して、口から出すのです。
頭の中に散在している積み木は、次の3種類に分類できます。
1.事実
2.意見
3.感情
「事実」とは、実際にあった出来事、行為、事柄、状態などです。
「意見」とは、あなたが事実を解釈して獲得した考え方、見解などです。
「感情」とは、あなたが事実や意見に抱く気持ち、思いなどです。
あなたの頭の中は、この3種類の積み木が散乱しているからうまく伝えることができないのです。言葉にできたとしても相手に通じないのです。伝え方や話し方以前に伝わらない原因はここにあります。
散乱している積み木を整理するためには、頭の中に3つの箱を用意して、それぞれの箱に「事実」「意見」「感情」のラベルを貼ります。これでようやく“伝える”準備が整ったことになるのです。
積み木を整理分類する
たとえば社内会議で、新しい顧客管理システムの導入提案をプレゼンテーションするとします。
あなたには、言いたいことがいっぱいあるはずです。でも決して、思いつくままに話してはいけません。
頭の中に散在している積み木を、用意した3つの箱に入れてみましょう。
「1ヶ月に10件のクレームが発生している」「納品まで3日間もかかっており、顧客を逃している」「顧客管理システムを導入している他社は、売り上げを伸ばしている」などの積み木は「事実」という箱に入れます。
「顧客管理を効率化する必要がある」「顧客管理システムでクレームを減らすことができる」「システムを導入すれば、新しい案件を発掘できるだろう」などの積み木は、「意見」という箱に入れます。
「ぜひ、このシステムを導入して欲しい」「システムが稼働するまで、頑張って取り組みたい」「この企画に命を懸けている」などの積み木は、「感情」という箱に入れます。
これで、あなたの言いたいことが詰まった頭はすっきり整理されたはずです。
頭の中が整理されたら、今度は、それぞれの箱から積み木を取り出して聴き手に渡していきましょう。
そうすれば、あなたは「支離滅裂」とか「考えは間違っている」といったマイナス評価をつけられることはありません。
何か伝えたいときは、常に頭の中にある「事実」「意見」「感情」のラベルのついた箱から伝えていくと、聴き手に知的な印象を与えることができます。
【参考書籍】
「アタマで話す技術」
著者:八幡紕芦史(一般社団法人プレゼンテーション検定協会会長)
発刊日:2003年10月22日
出版社:PHP研究所