プレゼンテーション成功のコツ!目的の決め方を徹底解説
「データ集めもしっかりして、資料もいいものが作れたのに、またプレゼンテーションが上手くいかなかった」
このような失敗を経験したことはないでしょうか。プレゼンテーションをすることになったら、いきなりストーリーや資料の作成に向けて、データ集めから始めてしまう人が多くいます。
データ集めやストーリー、資料の作成はプレゼンに欠かせない大切な準備ですが、プレゼンテーションの目的を決めないまま準備に入ってしまうと、費やした時間が無駄になってしまうことがあります。
そこで今回は、プレゼンテーションの目的について解説していきます。
最後まで読んで、プレゼンテーションを上達させましょう。
プレゼンテーションは目的を決めるところからはじまる
プレゼンテーションの準備と言えば、多忙を極めるイメージはありませんか?
データを集めて、ストーリーを考えて、ビジュアル資料も作って、参加者への配付資料も用意する。さらに、想定問答集までも考えなければいけない。やるべきことは山ほどあります。
しかし、「すぐにでも準備に入らないと」というはやる気持ちをぐっと堪えて、まず次の問いに答えてみましょう。
「何故、あなたはプレゼンテーションをおこなうのですか?」
この問いに明確に答えることができなければ、準備のために費やす努力が水の泡になります。人前に立って冷や汗をかき、頭の中が真っ白になる恐怖と闘いながらのプレゼンテーションになってしまい、苦労は報われないでしょう。
何故、プレゼンテーションをおこなうのですか?
「相手に自分の考え方を理解させたい」、とあなたは言うかもしれません。
企画や提案を聴き手に理解させたい。そのために、プレゼンテーションをおこなう。確かにそのとおりです。しかし、それだけなら忙しいときにわざわざ人を集めなくてもいいのではないのでしょうか。
資料を配付すれば、それで十分事足ります。ましてや、メールで一斉に配信した方が効率的ですし、口頭でおこなうプレゼンテーションより、文書の方が確実に自分の考えを相手に理解してもらうことができます。それに、文書なら相手は内容を読み返すことができ、記録にも残ります。
プレゼンテーションは非効率なコミュニケーション
口頭でおこなうプレゼンテーション、つまりコミュニケーションは、最も非効率的であり、非効果的で頼りないものでもあるということを理解しておくことが重要です。
あなたが発する音としての言葉は、どんどん消えてなくなってしまうからです。いくら熱弁を振るっても、聴き手の右の耳から左の耳へと素通りしてしまいます。
また、あなたの話しぶりは、スラスラと流れるようにとはいかないでしょう。つっかえる、忘れる、とちる、言い直す、余計なことまで言う、あー、えー、まーの雑音が入るなど。聴き手の理解を阻害する要因を多く含んでいます。
感覚的に話すわけにはいかないので、論理的な思考が求められます。考えながら話し、話しながら考えてとプレゼンテーションは決して簡単な作業ではありません。
よくある話ですが、プレゼンテーションの後で話し手に「どのぐらい話せましたか」と尋ねると、「言いたいことの半分ぐらいしか・・・」という答えが返ってきます。聴き手に「どのぐらい理解できましたか」と質問すると、「そうですね、半分ぐらいでしょうか」という答えが返ってきます。残念ながらプレゼンテーションは、最も非効率的でかつ非効果的なのです。
しかし、このような非効率なコミュニケーションを選択するということは、プレゼンテーションでなければいけない理由があるからではないでしょうか。
プレゼンテーションでなければいけない理由
なぜ、口頭でプレゼンテーションをするのか、その背景と必要性を考えてみましょう。
あなたが、顧客に問題解決の新しいシステムを提案するとします。
相手に提案の内容を十分に理解して欲しいと思います。
理解させるためには、顧客の注意をあなたに向けることが必要です。理解の阻害要因は単純に「聞いていない」というのが多分にあります。注意を喚起したら、次に興味をもたせなければなりません。「それは、面白そうだね」と、輿味をもたなければ、聴き手はあなたの話にしっかりと耳 を傾けようとはしないからです。
顧客の注意を喚起し、興味をもたせたら、理解を促進する論理的な話をします。
そうすると、 顧客は「なるほど」とあなたの提案内容を理解します。
でも、理解させただけで十分でしょうか。「話は分かるけれどもねえ」ということもあります。
理解させた次は、「そうだ、その通りだ」と合意させなければならないのです。
しかし、合意してもらっても安心するのはまだ早いです。「あなたの提案はその通りだが、まあ、検討しておこう」と言い古された台詞を返されてしまってはプレゼンテーションは失敗です。合意させるだけではなく、顧客に決定してもらわなければなりません。「よし、それでいこう」となります。
そして、後で「そうは言っても」と覆されないためには、合意させて、決定させて、行動させなければなりません。「契約書にサインする」という行動を獲得できれば、あなたのプレゼンテーションは成功です。
注意を喚起し、興味をもたせ、理解させ、合意させ、決定させ、行動させるためには、人を集め、あなた自身の口から、あなた自身の考え方を、聴き手に直接語りかけるプレゼンテーションでなければならないのです。
つまり、プレゼンテーションをおこなう目的を決めることから準備に取りかかるのが、プレゼンテーションにおいて大事なことで、プレゼンを成功に導くコツなのです。
あなたは、相手にどんな行動を意図してプレゼンテーションをおこなうのでしょうか。まず、この答えを明確にしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
話し手にとってのプレゼンテーションとは、聴き手に行動させることが目的です。説明資料作りに奔走してしまうと、成果が得られない残念な結果に終わりかねません。
みなさんも、「なぜプレゼンテーションをするのか?」「聴き手にどんな行動を意図するか」を自問自答して、プレゼンテーションの目的を明確にしてから準備に取りかかってみてください。
監修
八幡 紕芦史(やはた ひろし)
プレ検創設者
日本におけるプレゼンテーション分野では、先駆者として、その能力向上や啓蒙活動に寄与。これまでに、企業や団体におけるプレゼンテーションの教育や支援、大学におけるプレゼンテーション技術の指導などを手がける。関連書籍や雑誌の執筆も多数、講演活動もおこなう など、プレゼンテーション分野の第一人者。
また、コミュニケーションに関して造詣が深く、一方で、経営コンサルタントとして、様々な企業や団体でビジネス・プロフェッショナルとしての必要なリテラシーを支援、開発、養成、指導の助言、指導、支援もおこなっている。
主な専門分野は、ビジネスに不可欠な戦略的思考と行動、およびコミュニケーション能力。例えばビジネス戦略、営業戦略、戦略的目標管理、商品開発、論理的思考技術、プレゼンテーション技術、ミーティング・マネジメント、チーム・ファシリテイション、多様性のマネジメント、変革のリーダーシップ、グローバル・ビジネス・マネジメントなど。
「戦略的プレゼンテーションの技術」
第1章:プレゼンテーションの戦略
第2章:プレゼンテーションのシナリオ
第3章:インタラクティブ・プレゼンテーション
第4章:プレゼンテーションのデリバリー技術
第5章:ビジュアル化技術
ワークシート集、参考資料
八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版 232頁 定価2,530円(本体2,300円+税10%)