聴き手にとことん寄り添う!プレゼンテーションへの質問に対する返答術

プレゼンテーションの最中、あるいは終了後に飛んできた質問に対してなおざりな対応をしていませんか?

質疑応答で双方向的なコミュニケーションを取ることはとても大切です。しかし、誤った対応をするとプレゼンへの評価が一気に下がってしまいます。

今回は、話し手が聴き手からの質問に上手く対応する3つのコツを紹介します。マスターできれば、聴き手をさらに引き込むプレゼンになること間違いなしでしょう。

質問は最後まで聞いてから応答しよう

質問対応の1つ目のコツは、質問を最後までじっくりと聞き、相手の意図を理解して返答をすることです。

聴き手から質問されたら、話し手はその場ですぐに答えなければなりません。当然、緊張を伴います。しかし、まずは落ち着いて最後までしっかりと質問を聞くことを心がけましょう。

以下の場面を想像してみてください。

あなたのプレゼン内容に対して、一人の聴き手が質問をしようと手を挙げました。

「はい、何でしょうか?」

と尋ねると、質問者は、

「あなたの提案内容を実行するメリットは…」

と話し始めました。

そこであなたが

(メリットとして挙げられることはなんだろう…?)

と、質問の冒頭部分を聞いた時点で返答を考え始めると、何が起こるでしょうか。

「はい、はい、なるほど…」

と質問者に相槌を打ちつつも、少しでも正確に答えようと手元にある書類を繰り始めたりするでしょう。しかし、作業に集中してしまうと、同時に頭の中で質問内容を把握することはできません。結果として、ちぐはぐな返答になってしまいます。

質問者はプレゼンの内容への理解を深め、より詳しく知りたいと思って質問をしているのです。質問を最後まで聞かず、相手の意図を理解しないまま受け答えをしてしまうと、プレゼンテーションの信頼性は落ちてしまいます。

このように、話し手として相手の信頼を維持するためには落ち着いて質問を最後まで聞き、相手が知りたいことを見極めたうえで適切な返答をする必要があります。

プレゼン中に出た質問も、その場で答えよう

質問対応の2つ目のコツは、たとえプレゼンの最中でも聴き手からの質問にはその場で答えることです。

話し手からすれば、プレゼン中の予期しない質問は焦りの原因になります。「途中で口を挟まずに最後まで聞いてほしい」と思うかもしれません。しかし、だからといって返答を後回しにすると、聴き手はプレゼンへの興味を削がれかねません。

質問対応を後回しにすると、聴き手はプレゼンについて理解できない部分を残したまま話を聞き続けなければならなくなります。結局、聴き手は眠気に襲われたり、途中で話を聞くことを放棄したりしてしまう可能性があります。

これでは、あなたがどんなに興味深い内容のプレゼンをしていても、「つまらないプレゼン」だと評価されてしまいます。

プレゼン中に出た質問をなおざりにすることで聴き手の評価がよくない方向に進んでしまうことはしばしばあります。

プレゼンが途中であるにもかかわらず質問をするという行為は、話の内容をより理解したいという好意的なものです。それに応えらえるよう、話の最中だったとしても相手の質問を受け入れ、丁寧に返答することが重要です。

質問者の質問を繰り返そう

質問対応の3つ目のコツは、質問する形で相手の疑問を繰り返し述べるということです。例えば「いまご質問いただいたのは、○○が知りたいという意味でよろしいでしょうか?」といった風に、質問を咀嚼して返すのです。

聞かれたことにはすぐ答えられるのがベストですが、一瞬で考えをまとめることは難しいという場合も多いでしょう。

例えば、質問の返答が思い浮かばないとき、正直に「少し時間をください」と伝えたとします。しかし、これでは聴き手に準備不足を疑われてしまうかもしれません。

そこで、質問の繰り返しをします。これによって相手の意図を正確につかめるとともに、自分の頭の中で返答を考える時間が生まれるのです。長くても20秒程度にはなりますが、考えをまとめるには大いに役立ちます。

また、質問を繰り返すことは他にも大きなメリットがあります。それは、質問者以外の聴き手への気遣いを見せられるということです。

質疑応答はどうしても質問者と話し手同士のやりとりになってしまいやすいため、質問者以外の聴き手を蚊帳の外にしない工夫が必要です。

質問の繰り返しや咀嚼を行うことは、聴き手には気遣いとして映ります。つまり、繰り返しが「この方が代表して聞いてくださった質問への答えを皆さん全員にお伝えします」というメッセージになるのです。

まとめ

プレゼンテーションの質疑応答を成功させるコツは、

・質問を最後まで聞いてから応答すること
・プレゼン中に出た質問にもその場で答えること
・質問者の質問を繰り返すこと

です。

聴き手にとことん寄り添った対応をすることで聴き手を味方につけることが、プレゼンテーションを成功に導く大きなカギとなります。

聴き手が聞きたいコンテツ(内容)を吟味し、計算し尽くした聞きたいプロセス(順番)で構成されたシナリオは、プレゼンテーションで聴き手を意図する行動へ導きます。聴き手の思考回路とシンクロするシナリオをつくること、つまり、準備段階でプレゼンテーションの中身にこだわることが肝心です。中身があるからこそビジュアルが映えます。”映える“プレゼンテーションを目指すならば、シナリオづくりに力を注ぎましょう。