令和5年度文部科学省委託事業の協力報告

2023年度に文部科学省の委託事業に協力した成果報告が届きました。協力した内容と結果をご報告いたします。

1.活動名

令和5年度文部科学省委託事業「デジタル技術を活用した多様な生涯学習の学習履歴の活用に関する調査研究」の協力

2.活動の目的

本事業は、学校教育以外の学びにおけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現していく第一段階(デジタイゼーション)として、地方自治体が住民に提供する生涯学習講座や社会教育分野における称号等に関する学習履歴のデジタル化を推進するため、オープンバッジの作成・発行・管理等の実証を通じて、学習履歴をデジタル化する利点等及びその具体的な手法をまとめた教育関係機関向けの手引きを作成することを目的とする。また、本事業を通じて、学習の修了者の受講後の意識や行動変容に係るデータを収集・分析し、効果的な政策立案に資する提案を得ることを目的としている。

株式会社ネットラーニング 令和6 年3 月25 日付け「令和5 年度文部科学省委託事業 デジタル技術を活用した多様な生涯学習の学習履歴の活用に関する調査研究」より抜粋

オープンバッジとは

世界的な技術標準規格にそって発行された、資格・スキル・経験の「デジタル証明」です。
オープンバッジには受講・受検した講座・検定の詳細や取得条件、スキルが記載されています。
取得したオープンバッジを公開したり、SNSなどで共有したりすることで、学び・スキルの証明を行うことができます。

3.プレ検協力団体として選ばれた理由

一般社団法人プレゼンテーション検定協会が提供するプレ検®はIBT方式の100%インターネット型受検です。学習履歴やスキルをデジタルデータで“見える化”するオープンバッジとプレ検®は相性が良いことから、調査研究の対象として選ばれました。各級の合格者に対してオープンバッジを発行することで、次の学習へのモチベーション向上・検定試験への申込み増加、さらにはビジネスシーンにおけるスキルのアピールに活用ができるとの期待が持てます。

4.活動内容

オープンバッジの発行

下記のとおりオープンバッジの発行を行いました。

対象受検期間:2023年11月受検(第164回)~2024年2月受検(第167回)
発行対象級 :プレ検準2級、2級、準1級、1級
対象者   :発行対象級の合格者
発行条件  :オープンバッジ受領には説明動画の視聴およびアンケートへの回答必須

・アンケートの実施

オープンバッジ発行対象級の受検者には、上記の対象期間中、毎月アンケートの協力依頼を行いました。
回答結果は下記のとおりです。

■アンケート回答者の特徴
受検者の傾向として、回答件数33 件の内29 件が会社員であった。回答者の中心は20 歳~50 歳台の労働世代であった。

■安心の「紙」と便利な「デジタル」
「どのような証明書を発行してほしいか」という設問に対し、「デジタルのみ」の回答が30.3%、「紙とデジタルの両方」の回答が60.6%となった。もともとプレ検®ではデジタル媒体で合格証の発行を行っていたが、両方を求める声が多数を占めたのは、予想外の結果であった。記述回答を抜粋すると「保管用、また保険として紙面で持ちたい」という意見が多く、一方で「デジタルのみ」を選択している方の記述回答では「提出等活用のケースを考えるとデジタルの方が有用」という意見が散見された。紙は保管する「安心感」のために、デジタルは活用する「便利さ」につながるものであり、オープンバッジを含めたデジタル証明の広がり、ペーパーレス化を進めるには、現状の拡大期を超え、「活用」フェーズまで進展させる必要があると考える。

■オープンバッジの活用に関するアンケート結果
オープンバッジの利用イメージで全体集計と大きく異なったのが、「自身の学習履歴の可視化」の次に
「就職・転職でのアピール」、続いて「SNS での共有」を選択する受検者が多かったことである。「就職・転職でのアピール」の回答者が多かった傾向は、オープンバッジのメリットである「共有」というポイントが、労働者層に伝わった結果だと考えられる。また「SNS での共有」にについて具体的に利用している
SNS を見たところ、Facebook の利用者が19 件と比較的多く、実名で登録している人が18 件と大多数を占めていたため、Facebook を活用したスキルのアピールやクローズドなコミュニティでの活用の可能性が考えられる。

■今後身に付けたいスキル
今後身に付けたいスキルとしては、IT 関連、PC スキルが多くを占めていた。現在オープンバッジはAI・数理・データサイエンスをはじめとしたデジタルスキル、PC スキル関連の学習証明として発行をするケースが増えていることから、今後あらゆる学びがウォレットに蓄積されることで、学習履歴を可視化する
メリットや価値に気づく学習者が増えていくと考えられる。引き続きプレゼンスキルを学びたいという受検者の記述も多数あることから、継続的にオープンバッジを発行することで、バッジの効果検証をすることができるかもしれない。

株式会社ネットラーニング 令和6 年3 月25 日付け「令和5 年度文部科学省委託事業 デジタル技術を活用した多様な生涯学習の学習履歴の活用に関する調査研究」より抜粋

5.成果

令和5年度の調査研究の実績を受け、文部科学省では、オープンバッジの導入に興味がある方や導入を検討している方向けの手引書を作成しました。
詳細は文部科学省のホームページをご覧ください。

デジタル技術を活用した多様な生涯学習の学習履歴の活用に関する調査研究:文部科学省 (mext.go.jp)

6.所感

今回のオープンバッジ発行でプレ検受検者への影響がどこまであるのか調査結果に非常に興味がありました。
受検者の中には「オープンバッジが今後も発行されるなら、さらに上位級を目指したい」との意見もあり、世界基準のデジタル証明活用への期待値と意欲を感じることができました。
今後、各企業、団体、学校でオープンバッジ導入が拡がっていくことで、プレ検合格の実績をアピールしやすくなると期待しています。