プレゼンテーションでの悩みを解決!話し方のコツ
企画提案、成果報告、予算申請、技術・研究発表、就職や入試での面接など、大切なプレゼンテーションほど“上手く話したい”と誰もが思います。だから、ちょっと上手くいかないと“上手く話せない“と悩み、結果として「プレゼンが苦手」「プレゼンが嫌」と思ってしまいます。
みなさんにとって、“上手く話す”とは、どんなイメージですか?
滑舌が悪くたって、すらすら言葉が出てこなくたって、噛んだってみなさんがアナウンサーでない限り全く問題はありません。お笑い芸人でなければ、笑いがとれなくたっていいんです。あなたのプレゼンテーションで重要なことは“伝わる”ことなのです。 今回は、プレゼンテーションでの話し方のコツを伝授します。“上手く話せない”悩みを解決したい方はぜひ最後まで読んで、プレゼンテーションの話し方をマスターしましょう。
聴き手を惹き付ける話し方とは
プレゼンテーションにおいて、聴き手が一番快適に感じるのは“シンプルな文章”で伝えてくれることです。でも、この“シンプルな文章”で伝えることが、話し手にとって一番難しいのです。
あなたの頭の中には伝えたい内容がぎっしり詰まっています。
自分の頭の中にあることを次々と口に出し、話ながらまとめようとします。その結果、長文で複雑な文章になり、自分でも何を話していたのかわからなくなってしまい、聴き手に伝わっているかを気遣う余裕もなくなってしまいます。
上手に話す7つのコツ
話し手にとっても聴き手にとってもわかりやすいことが“上手く話す”ということです。プレゼンテーションで聴き手を惹き付ける”上手く話す“コツは7つあります。
- フレーズで話そう
- 「。」をつけて話そう
- 接続詞をつけて話そう
- 結論から話そう
- くりかえして話そう
- 間をいれて話そう
- 緩急、強弱をつけて話そう
1.フレーズで話そう
シンプルに伝えるためにはフレーズにしましょう。
「フレーズ(Phrase)」とは、まとまった意味を表す言い回しで、短い文章、ひと言で表せる言葉を指します。キャッチフレーズといえばイメージできるでしょうか。また、音楽的には旋律の一区切りの意味で、楽曲のワンフレーズといえばイメージできるでしょう。
たとえば、
「おなかが空いたなぁと思ったら、お湯をポットで沸かして、ふたを開けて、あっ、開けるのは半分だけで、お湯が沸いたらカップの内側の線までお湯を入れて、ふたを閉めて、えっと、閉めたら箸を置くのがコツで、タイマーで3分計って、ピピピと鳴ったらふたを開けて食べられるカップヌードルをお勧めします」
これをフレーズにすると
「カップヌードルならたった3分で空腹を満たせます! 」
#1-お湯を沸かす
#2-ふたを半分開けて内側の線までお湯を入れる
#3-ふたを閉めて3分待つ
このように、フレーズを意識して伝えたいことをひと言で簡潔に表現していきましょう。
2.「。」をつけて話そう
シンプルな文章にするには「。」(句点)をたくさんつけるのが伝わるコツです。つまり、長くて複雑な文章ではなく短い文章で伝えるのです。
たとえば、前述の例文を短い文章にすると、
「おなかが空いたなぁと思ったらお湯をポットで沸かします。ふたを半分開けて待ちます。お湯が沸いたらカップの内側の線までお湯を入れます。お湯を入れたらふたを閉めます。ふたの上に箸を置いて待つのがコツです。タイマーで3分計ります。ピピピと鳴ったらふたを開けて食べます。3分待てば食べられるカップヌードルをお勧めします」
このように、常に「。」を意識することが伝わるコツです。長くて複雑な文章は、自分でも何を話しているのか、どこまで話したのかわからなくなってしまいます。話す内容は三部構成のロジック・ツリーを思い浮かべながらフレーズを意識して短い文章を組み立てましょう。
3.接続詞をつけて話そう
図の出典:戦略的プレゼンテーションの技術
短い文章で組み立てたら、文章と文章に間に適切な接続詞を入れるのが伝わるコツです。接続詞によって文章と文章の関係性を示せるので聴き手にとってわかりやすくなります。
あなたが話す文章にはいくつ接続詞を使っているでしょうか。どのくらい接続詞を知っているでしょうか。日本語を長年話していてもいざ接続詞を挙げてみると意外と出てこないものです。
文章と文章の関係性を示す適切な接続詞を使いましょう。「たとえば」は事例を説明する、「しかし」は前文を対比する、「つまり」は要約する、「なぜなら」は根拠を説明する、「あるいは」は選択肢を提示する、「ところで」は話題を変える、ときに活用できます。
接続詞を活用する際に大事なのは、短い文章と短い文章の間にその関係性を示す適切な接続詞を用いることです。たとえば、前述の短い文章の例文はブツ切れなので、手順を示す接続詞「まず」「次に」「そして」を用いるとわかりやすくなります。話し手も何を話しているのか忘れにくくなります。聴き手は接続詞のところでグッと惹き付けられること間違いなしです。
4.結論から話そう
1〜3で説明したフレーズで、接続詞を入れた短い文章で話すのはコツとしては初級です。聴き手を惹き付ける中級のコツは、結論から話すことです。
プレゼンテーションはいくら上手く話せても聴き手に伝わらなくては意味がありません。聴き手に「聞きたい」と思わせるには聴き手の聞きたいこと、つまり結論から話すことです。
たとえば、「おなかが空いたなぁと・・・」と起承転結で伝えずに、結論の「カップヌードルならたった3分で空腹を満たせます!」から伝えます。これを聞いた聴き手は「えっ3分?どうやって?」と興味を寄せて話の続きを聞くので、しっかり聴き手に伝わります。
聴き手を惹き付けるには、聴き手の聞きたい結論から話すことがコツです。聴き手が聞きたい結論は3P分析の結果から設定します。
3P分析について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
『プレゼンテーション成功の決め手!3P分析から準備を始めよう』
5.くりかえして話そう
聴き手を惹き付ける中級のコツのもうひとつは、くりかえして話すことです。
重要なフレーズ、キーワード、特徴、スローガンなど、プレゼンテーションの中で何度もくりかえし話すことで聴き手の記憶に留めることができます。楽曲を聞き終わった後にワンフレーズを口ずさんでいたり、コマーシャル・ソングのキャッチフレーズが頭にグルグルしていたりしたことがありませんか。
「I have a dream(キング牧師)」「Yes, We can(バラク・オバマ氏)」もくりかえし用いたことで多くの人の心を動かしました。
プレゼンテーションの成功は話し手が意図した行動へ聴き手を導くことです。くりかえしは聴き手を行動へ導くことへ大きな効果を発揮します。
6.間をいれて話そう
図の出典:戦略的プレゼンテーションの技術
聴き手を惹き付ける上級のコツは、“間”をいれて話すことです。聴き手は沈黙という“間”に惹き付けられます。
どんなに上手な話し方であっても早口で途切れることなく話し続けられたら、聴き手は聞き取れなくなったり、息苦しくなったり、気が遠くなったりします。
その結果、聞くことも理解することも放棄してしまいかねません。聴き続けることには相当な集中力が必要なのです。沈黙という“間”があると、聴き手は息継ぎをし、気を取り直し、頭を整理することができるので理解促進につながるのです。
プレゼンテーションで言葉が出てこない恐怖を持っている人がいるでしょう。しかし、その恐怖よりも聴き手が聞いてくれない恐怖のほうが勝るはずです。ならば、プレゼンテーションで“間”を活用してください。接続詞の後、段落が変わるとき、重要なフレーズを話す前、聴き手に睡魔が襲いかかっているとき、勇気を持って沈黙しましょう。計算して沈黙をするのです。ただし、“間”の沈黙ですから、ほんの一瞬です。あまりに長い沈黙は“間”ではなく“事故”になってしまいます。
7.緩急、強弱をつけて話そう
図の出典:戦略的プレゼンテーションの技術
聴き手を惹き付ける上級のコツのもうひとつは、緩急や強弱をつけて話すことです。
プレゼンテーションで聴き手が“話し方が上手い”と思うのは、変化に富んだ話し方です。
平坦で一本調子の話し方は、眠気を誘います。聴き手を惹き付けたいと思うならば、話し方に変化を加えましょう。ゆっくり話す、早く話す、高い声で話す、低い声で話す、大きい声で話す、小さい声で話す。伝えたいメッセージで組み合わせて話します。
ゆっくり小さく低い声で話すと重要さを伝えることができます。
早く高い声で話すと聴き手を高揚させることができます。
ゆっくり大きな声で伝えると強調することができます。
小声でささやかれると特別感を伝えることができます。
ゆっくり伝えると強調できます。
聴き手の心理的影響を考慮して、伝えたいメッセージで緩急強弱を組み合わせることがコツです。終始、大きく高い声で話されると、聴き手はあおられ感をもち、早口で話されるとランニング・マシンで走った後の疲弊感をもちますので要注意です。
緩急や強弱を自在に組み合わせて変化に富んだ話し方に聴き手はどんどんと惹き付けられていきます。
まとめ
今回は、プレゼンテーションでの話し方のコツを解説しました。話し方の悩みは人それぞれだと思いますが、このコツをひとつずつ実践することで、悩みもひとつずつ解決していきます。
大切なプレゼンテーションほど話し方にも準備が必要です。話し方もビジュアル、つまり、見える話し方が聴き手を惹き付けます。ビジュアルの3原則、「シンプル」「インパクト」「コンパクト」を意識して準備をしましょう。「プレゼンが苦手」「プレゼンが嫌」と思っていても、「伝わる」ことを実感できるようになると「プレゼンは楽しい」「プレゼンが好き」に変わっていきます。
プレゼンテーションで「わかりやすいプレゼンだった」「いい話を聴けた、ありがとう」「話し方が上手ですね」と聴き手からの評価が上がること間違いなしです。
監修
八幡 紕芦史(やはた ひろし)
プレ検創設者
日本におけるプレゼンテーション分野では、先駆者として、その能力向上や啓蒙活動に寄与。これまでに、企業や団体におけるプレゼンテーションの教育や支援、大学におけるプレゼンテーション技術の指導などを手がける。関連書籍や雑誌の執筆も多数、講演活動もおこなう など、プレゼンテーション分野の第一人者。
また、コミュニケーションに関して造詣が深く、一方で、経営コンサルタントとして、様々な企業や団体でビジネス・プロフェッショナルとしての必要なリテラシーを支援、開発、養成、指導の助言、指導、支援もおこなっている。
主な専門分野は、ビジネスに不可欠な戦略的思考と行動、およびコミュニケーション能力。例えばビジネス戦略、営業戦略、戦略的目標管理、商品開発、論理的思考技術、プレゼンテーション技術、ミーティング・マネジメント、チーム・ファシリテイション、多様性のマネジメント、変革のリーダーシップ、グローバル・ビジネス・マネジメントなど。
「戦略的プレゼンテーションの技術」
第1章:プレゼンテーションの戦略
第2章:プレゼンテーションのシナリオ
第3章:インタラクティブ・プレゼンテーション
第4章:プレゼンテーションのデリバリー技術
第5章:ビジュアル化技術
ワークシート集、参考資料
八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版 232頁 定価2,530円(本体2,300円+税10%)
プレ検公式テキスト
「パーフェクト・プレゼンテーション」
第1章:プレゼンテーションを始めよう
第2章:聴き手分析
第3章:目的と目標分析
第4章:場所と環境分析
第5章:シナリオの構築
第6章:3部構成のシナリオ・ツリー
第7章:デリバリー技術
第8章:ビジュアル・プレゼンテーション
第9章:双方向のプレゼンテーション
八幡紕芦史著 アクセス・ビジネス・コンサルティング株式会社
A5版並製 431頁 定価3,300円(本体3,000円+税10%)